NIKEの年代の見分け方
Share
こんにちは。
STORAGEの中畑です。
本日も年代の見分け方についてです。
その中でもナイキは検索すると数々知見が出てくるので今更なのですが、おさらいとして読んでいただけたらと思います。
また、他サイトではあまり触れられない企業の成り立ちや小ネタなども取り上げてみたいと思います。
現在のNIKE
NIKEは今や言わずと知れたキング・オブ・ファッションブランド。
2021年には、世界企業ブランドランキングにおいて、ファッション業界ではトップに、あのルイヴィトンを抑えて堂々の11位となりました。
当時のスニーカーブームは勿論ですが、近年のデザイナーブランドや著名人とのコラボレーションなど、様々な理由からもファッション部門堂々第1位と言う結果に頷けます。
NIKEの歴史
言わずと知れたナイキはスニーカーから始まった会社。
エア・マックスやエア・ジョーダンが目立ちすぎるナイキですが、ルーツはランニングシューズから。
▼NIKEの原点「Cortez(コルテッツ)」
実は日本とのゆかりが色濃く、創業者のフィル・ナイトは1964年当時、高品質のランニングシューズを作っていた日本のシューズブランド「オニツカタイガー」に惚れ込み、アメリカで独占販売権を得ようと会社を設立。
その会社がナイキの前身となる会社、BRS(ブルーリボンスポーツ)という会社でした。
と、まだまだウンチクを語りたいところですが、本題へ。
ナイキの歴史に興味がある方は、SHOE DOGを読むことをオススメします。
1964年 BRS設立当時
▼BRSロゴ
出典:https://inkbotdesign.com/nike-logo-design/ より
BRSは、1971年にオニツカタイガーとの契約終了とともに「Nike(ナイキ)」へと社名を変更、この時はじめて今やナイキの象徴でもあるSwoosh(スウッシュ)が誕生します。
こちらはナイキが冠された最も古いとされる元祖"風車タグ"。
こちらは70年代当時のもので、実は元々僕の私物であって僕の宝物の一つでしたが、現在はこちらのSTORAGE UNLIMITED、また店舗の方で「ASK」という形で展示販売しております。(価格は交渉ください。笑)
BRSタグと風車マークの状態も良く、このように出典するにはもってこいの代物。
紺色タグにNIKEロゴとスウッシュ風車、そして右下に小さくBRS INCと表記されています。
また、こちらのTシャツはナイキの発祥地でもある、オレゴン州にて現在も行われているマラソン大会のTシャツ。
ランニングシューズに魅せられ、渾身の想いでコルテッツを誕生させたナイキは創業者のフィル・ナイト。
そんなNIKEがスポンサーなのは、なんとも感慨深いです。
〜1971年 ナイキ誕生時代
▼出典:https://www.feeetshop.net/product/57570 より
最も有名な”風車タグ”を数パターンご紹介。
この頃のタグはホワイトにプリントしているということも相まってか、かなり薄くなったものがオークションなどにたまに出品されていますが、この写真のものはタグの状態も非常に良く、出典先のリンクに行くとその価格に驚かれると思われます。
僕は仕入をしていてこの風車タグには未だ出会ったことがありません。
▼出典:https://selosia.net/used/13522/ より
こちらはBRS当時に使用されていたとされる、”筆記体タグ”。
BRS時代のナイキは、基本的にチャンピオンやヘインズなどの他社製ボディを使用していた為、おそらくOEMでの仕様ではないかと思います。
▼出典:https://oldnike.com より
こちらも有名な当時のTシャツに使われていた風車タグ。(画像は復刻で、当時ものはレジストリマークがないです)
マニアには大人気のタグですが、こちらは復刻も数多くされています。
NIKEはスニーカーも含めとにかく復刻が多いので、復刻特集も面白そうですね。
70年代後半~80年代前半
▼スウッシュとNIKEロゴにTM(トレードマーク)が付きます
※TMとは一般的に、将来的に商標登録を出願する予定、または商用で使用していることをアピールするために使われるものを指します
通称・"オレンジタグ"。
スタッフ私物です。
数年前のヴィンテージブームには価格が高騰し、手に入れることが一時困難でもありました。
この当時のものはナイキ製品だけではないのですが、サイズ感が今とはまるで違うので、オンライン購入は要注意です。(表記よりかなり小さい)
ヴィンテージナイキが好きな方には、このオレンジタグへの思い入れは特に強いのではないでしょうか。
80年代前半~80年代後半
▼画像が荒くて申し訳ないのですが、ついにスウッシュとNIKEがレジストリマーク(商標特許)に変更、こちらもスタッフ私物。
通称・"紺タグ"。
この辺はよく古着屋でも見かけることが多くなるタグです。
写真にあるようなゴツナイキや、カマボコと呼ばれる有名なNIKEロゴの様々なデザインが生まれたのも80's。
この頃のナイキの特徴として、生産地に日本やヨーロッパなども追加されます。
僕個人としては生まれ年ということもあって、なんとなく見つけては購入してしまう年代ナイキアイテムです。
80年代後半~90年代前半
昨今のスタイルの火付け役と言ってもいい、こちらの90年代は通称・"銀タグ"や"グレータグ"と呼ばれています。
年代的には決して80年代や70年代の物の方が希少なはずなのですが、この90年代生まれがとにかく人気です。
90'sスタイルブームが始まってからすでに5年以上経っているのですが、それでもこの90年代のアイテムは人気に歯止めが掛かりません。
それもそのはずなのですが、この時代のものはとにかく「モノ」が良いんですね。
これは僕の個人的見解でもあるのですが、90年代前半はバブル最盛期ということもあって、企業がしのぎを削り合いながらブランディングや商品の付加価値を高める為への企業努力に満ちていたのだと思います。
この90年についてはまた違う形で記事にしてみようと思います。
▼カーマインがカッコいい、当店イチオシのJORDANTシャツ
90年代後半〜00年代
▼出典:https://www.3m.com/3M/en_US/company-us/about-3m/ より
通称・"白タグ"と呼ばれる、東南アジアでの生産がスタートした時期です。
この頃の年代アイテムも最近では入手が困難となりつつありますが、当店でも大変人気です。
▼出典:https://fashion.aucfan.com/yahoo/h1031533576/ より
フィリピン製の白タグ
白タグには注意が必要で、特に東南アジアものはブートレグ(フェイク品)が多いことから、所謂偽物が気になる方は注意も必要です。
でもこのブートレグ、実はかなりマニアックなファン層からは(僕もブートレグファンです)大変人気がある"非公認"海賊版だったりもします。
こちらもいつかゆっくり特集を組んでみたいと思います。
00年後期〜現行タグ
▼出典:https://oldnike.com/tag/ より
00年後半からは、写真の様なタグになります。
こちらのタグですが、メルカリなどのフリマサイトでは90'sと書かれているものもありますが、2000年代後期のものになります。
現行タグは多いのでどんどんいきましょう。
▼出典:https://oldnike.com/tag/ より
こちらも90年代とよく間違われるのですが、こちらは2000年代のナイキスポーツラインのタグです。
ジャージとかトラックパンツとかで見かけたことありませんか?
▼出典:メルカリより
こちらがよく間違われるタグ。
こちらは現行タグでもよく使われる、紺タグに似ているというよりはほぼ見た目が一緒の、通称"復刻紺タグ"というものです。
よく見ると、ツヤがあったりナイキのレジストリマークが無かったり、中国製だったりと特徴があります。
サイズの表記タグも二枚重ねとなり、当時の紺タグとは全く違うのが分かりますね。
▼出典:ヤフオクより
こちらもメルカリなどで「激レア」「90年代」などとされていますが、残念ながらそんなことはなく、こちらも海外のスポーツラインやウィメンズラインで00年代後期より採用されているタグです。
▼出典:PayPayフリマより
こちらが近年で一番見るタグではないでしょうか。
日本で販売されているナイキのトラックパンツなどは、ほぼこちらではないかと思います。
また、現在ではTシャツなどを中心に、復刻モデルなど特別モデル以外は基本的にタグが廃止され、プリント表記に変わっていたりもします。
▼出典:https://undefeated.jp より
おわりに:古着が現行よりも高いものがある理由
あくまで僕の私的見解となるのですが、これほど相場にムラがあると自分でも不思議になります。
そこで、いくつか仮説を立ててみました。
ことナイキだけに始まった話ではないのですが、この年代タグの記事を見ていただくと、それまでの企業努力をはじめとした片鱗を辿ることができます。
例えば、ナイキは80年代に®︎マーク(つまり商標登録)を取得しており、その後アパレルラインに力を注いだ90年代にこそ、あの最高傑作と呼ばれるエア・ジョーダン1が誕生しました。
90年代が人気なのは、前述した企業努力というものもありますが、その時代に様々な"モノ"が生まれたということであると思います。
例えば、服を作っている方はお分かりかと思いますが、タグを作るのも結構お金が掛かるもの。
コストダウン、或いは環境問題等を配慮したサスティナブルなのか、"無駄なものを無くす"ことが現在の世界のトレンド、つまりはSDGsという取り組みです。
アパレルブランド世界ランキング1位ともなるナイキだからこそ尚さら、世界での取り組みを積極的に行っているのかも知れません。
昔は掛けているコストそのものが違う。
今になってこの時代のファッションやカルチャーが人気なのも勿論ですが、古着屋を営んでいる者としての考え方としては、古着の醍醐味とも言える"ヴィンテージの定義"を改めて考えてみると、"味"や"カッコいい"ということはさておいて、そもそも20年も30年も前の服が状態良く残っているということに関心を向けてしまいます。
▼弊店のNIKEのラインナップはこちらの画像をクリック